かえるの学校って?
ご挨拶
出版の知恵を実人生に
「かえるの学校」は、出版の世界で培われてきた技術や考え方を、人が生きるための知恵として伝えていこうとする学校です。一冊の本や雑誌の特集をつくるように、教室や授業を考え、展開していこうと思っています。例えば『カレーの本』をつくるように料理教室を開いたり、雑誌の『小商い特集』を企画するように、リサイクルショップやカフェの店主が先生となって次々登場する授業を考えたり……。
とはいっても、料理教室やスモールビジネスを目指す人たちのための講座は「まだ先の話」。とりあえず自分たちがすぐにやれることを、ということで、「文章教室」と「校正教室」を開くことにしました。
この学校の中心メンバーとして、渡邉裕之と大西寿男がいます。渡邉はライター、大西は校正者として、長く出版の世界に関わってきました。そのなかで身につけてきた技術や考え方を、教室に参加してくれた方々に伝えていきます。
教室で伝えることは、本づくりや雑誌づくりの実践の場で使えるものになるはずです。しかし僕たちは、そのような場を越えた実人生でも使えるような知恵を伝えることを目指します。
渡邉が行う文章教室ではインタビュー原稿の書き方を中心に教えますが、そこから「他者の声を聴く力」を模索していきす。大西は校正を、ただ原稿のまちがいを正していく作業ではなく「他者のことばを力づける(エンパワメントする)」仕事と定義し、授業に臨みます。
「かえるの学校」では、文章術や校正の技術を具体的に教えますが、その技術の中心にある「人のことばのためになる」という理想を大切にしようと考えています。
これから絵画や語学など他の教室も計画していますが、中心には、この理想があるような形にしたいと思っています。
OPEN SPACEから始める
学校という「場」について語ります。
僕は東京にもうかなり長く住んでいますが、どんどん人の暮らしが閉鎖的になっているなと感じています。考えるに、もっと家は外に開いて、人は交流した方が楽しいと思います。ということで、自分が住んでいる大森の家を開放してみました。
学校は、知識の伝達だけでなく、人が交流するきっかけになればいいと思っています。
しかし「家」も「歴史」も、そして「開く」もそう簡単なことではないはず。コミュニケーションは難しく、誤解も生み出すでしょう。そういう場合にこそ、「人のことばのためになる」という考えが役立ってくれればと思っています。
つまり、こういう学校です
「かえるの学校」では、出版の仕事から生きるための知恵を抽出し、参加者に手渡します。家を開いてスペースをつくり、そこで楽しんでもらいます。インタビューの質問づくり、校正の赤字の入れ方、将来は絵を描いて……。
授業の後に時間がある人は、みんなで話でもしましょう。
まずは一度、大森・ジャーマン通り裏の学校へいらしてみてください。
かえるの学校
渡邉裕之